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2016/02/12

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「障がいのあるなしに関わらず、フットサルを通じた感動経験をみんなで共有したい」。障がい者と志に共感する人たちで結成された『チームスマイルサラダ』のビジョン

障がいのある人もない人も一緒になって、フットサルを通した感動を体験することで人間として成長し、さらにその感動経験を社会に還元していく――。
そんなチームづくりをめざしているのが、今回ご紹介する『チームスマイルサラダ』です。

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きっかけは、障がいのある人たちがフットサルを楽しむ環境がなかったこと

「チームスマイルサラダを立ち上げるきっかけになったのは、障がいのある子が個人参加型のフットサルの参加を断られたという話からです」

そんな話を教えてくれたのは、スマイルフットサルの代表(株式会社Criacao取締役)を務める竹田好洋さんです。

「養護学校の生徒が、学校を卒業してしまうとボールを蹴る場所がなくなってしまうので、個人参加型のフットサルを申し込みに行ったのだけれど、フットサル施設から参加を断られてしまった。どこかに障がい者でも気軽にボールを蹴ることのできる場所はないだろうかと相談を受けていたんです」

そのころ、竹田さんの運営するスマイルフットサルでは、聴覚障がい者のフットサルイベントを企画しているところでした。チームスマイルサラダのメンバーでもある一般社団法人日本ろう者サッカー協会の浜津哲也さんは、当時の様子をこう振り返ります。

「ろう者サッカー協会から、スマイルフットサルと一緒に活動ができないかとアプローチをしていたときでした。一過性のイベントはよくあるのですが、そうではなくチームとして継続できるものにしたいという話し合いを進めていました」

「見えないことが見える世界」へのリスペクト

この計画が、聴覚障がい者に限らず、いろいろな人が一緒になってフットサルを楽しむことのできるチームづくりに発展していきます。
竹田さんにとっては、多様性のある環境はとても自然なことでした。

「スマイルフットサルの運営母体が日本ブラインドサッカー協会の事務局とオフィスをシェアしているので、日頃から障がい者と接する環境にありました。よく障がい者を『かわいそう』と言う人が多いのですし、正直言うと私もその一人でした。しかし、そんな多様性のある日常にいることや、ブラインドサッカー研修会などを通じて、『見えないことで見える世界』に衝撃を受け、すぐに『かわいそう』が『リスペクト』に変わっていきました。IBSAブラインドサッカー世界選手権2014のときに『見えない。そんだけ。』とのキャッチコピーもありましたが、本当に自然なことなんです。だから、障がいのある人のチームを作るのではなく、障がいのあるなしに関係なく、誰もが混ざり合ってフットサルを楽しむことのできるチームが理想でした」

「受け入れられないのならば自分たちで作ってしまおう」

竹田さんの思い描いていたフットサルチームを実現するのには、それほど時間はかかりませんでした。同じ思いを抱いていた方が監督を引き受けることになったのです。それが長谷川健さんです。

長谷川さんは、東京都フットサルリーグ1部に所属するバンフ東京(BANFF TOKYO)で現役のフットサルプレーヤとして活躍する一方で、社会福祉士と介護福祉士の資格を持ち、知的障害者の生活支援をしています。長谷川さんは、障がい者のフットサル環境について、こんな話をしてくれました。

2チームスマイルサラダの長谷川健監督

「僕は、発達障がいと診断されてしまった子や地域のチームになじめない子たちも受け入れてフットサルを教えているのですが、たしかに障がいのある子どもを受け入れられるサッカークラブを探しても見つからないのが現状のようです。障がいのなかでも、聴覚障がいであれば運動機能や社会性といった側面でのハンディが小さく、障がいのない人のチームにも比較的参加しやすいようですが、脳の障がい、自閉症や発達障がいなどは、周囲の理解がなければ受け入れられるのは難しいようです。こうなると、子どもはフットサルをあきらめてしまうでしょうし、当然大人になってからもフットサルを楽しむことのできる場所も見つからないでしょう。こうしたこともあって、それならば、僕たちで立ち上げようということになったんです」

こうして2015年8月、いろいろなものが盛り合わさる“サラダ”を愛称にして、チームスマイルサラダは誕生します。現在は聴覚障がい者を中心に、精神障がい者、弱視などの視覚障がい者、そして活動の趣旨に共感している人たちなど、約30名のメンバーが在籍し、月に1回の練習会をはじめ、スマイルフットサルの主催するフットサル大会にも参加しています。

障がいのあるなしに関係なくフットサルを楽しむことのできるチームの存在を知ってもらいたい

メンバーの多くは、FacebookなどのSNSや知り合いからの口コミによってチームスマイルサラダの存在を知り、参加したようです。以下、参加した人たちの声です。

「フットサルが好きであれば、言葉がなくても分かり合えます。ボールひとつあれば、それがきっかけでコミュニケーションもできるので、障がいに対しての先入観をもたずに、まずは参加してもらいたいです。このような多様性のあるフットサルの活動をしているチームは少ないので、これから広がってくれればいいですね」(夏苅正幸さん 介護福祉士 31歳)

「長谷川さんのチームスマイルサラダに対する思いに共感して、私もなにかお手伝いができたらと思い参加しました。私自身もこのチームに参加することで、これまで自分が接することのなかった方たちと触れ合い、世界観も変わってきました。ですから、この活動を大勢のひとに知ってもらいたいです。障がいのあるなしに関係なく、フットサルを楽しもうという気持ちだけ持って参加してもらえれば、あとはボールだけあれば楽しむことのできるチームです」(市川千愛さん 作業療法士 30歳)

「障がいがあることが原因でサッカーができない人は、どんどん参加してほしいです。周囲にボールを蹴ることのできる環境がないのであれば、難しいことなど何も考えずに、どんどん入ってきてほしいです。そしてチームスマイルサラダのような受け皿があることを、もっとみんなに知ってもらいたいですね」(一般社団法人日本ろう者サッカー協会 浜津哲也さん)

このような参加メンバーからのコメントからも伺えるように、今後はチームの認知度を高めていくことが課題となっているようです。

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フットサルで得た感動体験によって笑顔のあふれる世の中をつくりたい

最後に代表の竹田さんが、チームスマイルに託した思いを話してくれました。

「スマイルフットサルには『フットサルを通じて、笑顔と感動が溢れる世の中を創造していく』という理念があります。チームスポーツの価値の一つは、みんなで感動を共有できることです。そして、その感動するまでのプロセスにおいて、人々が感動する組織(チーム)、個人はどういうものなのかを理解していくことができます。マネジメント力もそうでしょうし、感謝、尊敬、思いやりの気持ちなども身についてくるわけです。それは社会においても人々を感動させるためにも必要なことですから、フットサルだけにとどまらせずに社会に還元していこうということです。そうすれば、笑顔と感動のあふれる世の中を創り上げることができると信じています。

これからは日本の社会も、チームスマイルサラダのように多様性、ダイバーシティが大きな社会的テーマとなる時代になってくるでしょう。ですから、チームスマイルサラダも、ただフットサルを楽しむだけではなく、障がいのあるなしに関わらず、誰もが自分自身を成長させるための場になってほしいと願っています」

(取材日:2015年12月20日)

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2016/12/26公開
「みんなが障がいの有る無しに関係なく一緒にボールを蹴ることは決して難しいことではありません」~あれから1年、チームスマイルサラダのその後~

>> スマイルフットサル