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2017/04/28

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社会的困難や不利を抱えた人たちが人々との交流を取り戻す場所「ダイバーシティカップ」が新たな展開に。フットサルという居場所作りのツールが全国へ!

多様な背景を持つなかで社会的困難や不利を抱えている人たちが、フットサルの持つ力で心身の健康を取り戻し、社会復帰する意欲を取り戻す――。そんなきっかけを作るためのイベントとして「ダイバーシティカップ」は行われてきました。

2015年7月に第1回大会が行われてからは単独での開催でしたが、2017年は3月6日に「第12回 全国若者・ひきこもり共同実践交流会 in東京」の延長企画として「ダイバーシティフットサルカップ」が開催されました。そこで主催する認定NPO法人ビッグイシュー基金の長谷川知広さんに、今回新たなスタイルで実施されることになった経緯や目的について語ってもらいました。

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――はじめに、今大会の「ダイバーシティカップ」が「第12回 全国若者・ひきこもり共同実践交流会 in東京」(以下、実践交流会)の延長企画になった経緯を教えてください。

まず、実践交流会は、3月4日(土)と5日(日)の2日間に渡って、東京都世田谷区の駒澤大学・駒沢キャンパスで行われました。これは、北海道から沖縄まで、不登校やひきこもり、そしてうつ病などの若者を支援する個人や団体が約千人集まり、交流と学びを通して、実践力とネットワークを育むための交流会です。

私は、そのなかで「多様な居場所をつなぐ」という分科会に参加して、スポーツを使った居場所づくりとして「ダイバーシティカップ」の事例報告をさせていただくことになりました。実践交流会には実行委員として準備の段階から関わっていたので、せっかく若者を支援している方たちが全国から集まるのだから事例報告だけで終わらせてしまうのはもったいないと考えていました。スポーツが居場所づくりのツールになることを体感してもらえる素晴らしい機会になると思ったのです。

そこで実行委員会のときに、「4日と5日はシンポジウムや分科会など、これまで通り議論形式の会をして、6日の月曜日に『ダイバーシティカップ』を実践できないだろうか」と提案をしてみたところ、皆さんが快諾してくれました。それで3月6日に「ダイバーシティフットサルカップ」として実現できたのです。これまで「ダイバーシティカップ」に参加してくださっていたチームを含めて、今大会は12チーム、約150名の参加がありました。

――実践交流会の参加者からは、実際にフットサル大会に体験してどのような感想がありましたか?

反応は良かったと思います。昨今、若者支援の分野では「就労の事実・就業」がゴールとされがちですが、当事者の方は、たとえ就労することができても職場と家以外に居場所がないというケースも少なくありません。人と人とのつながりが希薄なまま社会に出ても、結局、根本にある孤独は解消されず、ある日突然、職場からいなくなってしまい、そのまま連絡がつかなくなってしまうケースも起こっています。こうした事例は、実践交流会に参加した多くの支援団体も経験していて長年の課題になっています。

「ダイバーシティカップ」には、ひきこもっている人も、ひきこもりを卒業した人も、自分と似た立場の人、また異なる背景の人たちと交流の場を持つことに大きな意味があると感じています。「この人が頑張っているのだから自分も頑張ろう」と切磋琢磨しながら前向きな気持ちになれるからです。特にフットサルなどのスポーツを介すると、年齢や性別、そして社会的な立場も関係なくなり、みんなが一緒に楽しめるので、これが自分の居場所だと感じやすくなるのです。

今回、このような悩みを抱えている支援団体の方と話し合いをする機会がありましたが、スポーツにコミュニケーションツールとしての可能性を感じていても、模索をするなかで実践する機会がなかった、との声をかなり聞くことができました。「ダイバーシティフットサルカップ」を体感してもらったことで、スポーツが一つのツールになる可能性を認識してもらえたようです。

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――今後は「ダイバーシティカップ」の持つプラットフォームを利用したタイアップ企画も推進されていくのでしょうか?

そうですね。社会的困難や不利を抱えた人たちが人々との交流を取り戻す場としてスポーツイベントを開催するとしても、ただ単に試合をするだけではあまり意味がありません。アイスブレイクによって、参加者同士が自己紹介をしたり、喋ったことがない人たちとも握手をしたり、あるいは全チームを表彰したり、といった互いの心が打ちとける段取りが必要になります。こうしたノウハウは「ダイバーシティカップ」によって蓄積されています。

今回は、福島県や宮城県の東北エリアからも参加があり、「東北でも『ダイバーシティフットサルカップ』のような大会を実践してみたい」との声がありました。関西圏からも大勢の参加があり、今年大阪でも小さな規模で大会を開催したいという声がありました。これまで「ダイバーシティカップ」は、東京でしか開催できませんでしたが、今後は全国へ広がっていく可能性も感じました。

今回タイアップをしました実践交流会も年に1回開催していますが、次回の第13回大会は、2017年12月頃に富山県で予定されており、再び「ダイバーシティフットサルカップ」の話も出ています。実現したら、今回のように最初の2日間はシンポジウムや分科会をして、最終日はみんなでフットサルという形での交流ができたら理想的だと思います。

もともとはホームレスサッカーがきっかけとなり、次第にホームレスだけではなく、難民、ひきこもり、発達障害、うつ病、ギャンブル依存症、被災者、LGBT、生活保護受給者などの社会的困難や不利を抱えている人たちがサッカーを通じて交流できる場として、2015年に「ダイバーシティカップ」はスタートしました。この試みが全国に広がってくれたらとの思いがありましたが、実際に「ダイバーシティフットサルカップ」はその大きな可能性を秘めていると感じます。

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――スポーツを使った居場所づくりの輪を広げるためには、当事者同士、当事者と支援者だけではなくて、支援者同士のつながりも大切になってきそうですね。

フットサルを、ホームレスなどの当事者に楽しんでもらうことは大前提にありますが、支援団体同士も繋がっていかないと、サポートする準備態勢が十分ではありません。その意味で、今回の「ダイバーシティフットサルカップ」では、チームリーダーミーティングで名刺交換や、支援団体のパンフレットを交換する時間を設けました。お互いを知ること互いに声かけをしやすくなりますし、より顔が見えるようになります。「みんなで一緒にやっていきましょう!」というムーブメントが生まれる期待感もあります。会場では、それぞれが自分たちの得意分野を活かして今後は連携してみては? との積極的な話し合いもなされていました。今後は支援する側の動きにも期待したいです。

(取材日:2017年3月29日)