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2017/08/03

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学校跡地を活用した地域住民のスポーツの拠点づくり。東京ヴェルディと多摩市が共同で進めた『東京多摩フットボールセンター 南豊ヶ丘フィールド』が地域にもたらすものとは?

2015年に東京都多摩市に開設されたサッカーを中心としたスポーツ施設、「東京多摩フットボールセンター 南豊ヶ丘フィールド」。
そこは、かつての多摩市立南豊ヶ丘小学校であり、子どもたちが通っていた学校施設でした。2011年に南貝取小学校と統合されたことで、学校施設としての役目を終えましたが、新たに多摩市と東京ヴェルディが協働し、地域住民に「スポーツ振興や健康づくりの場」を提供することを目的に整備されたのです。

20170803_1多摩市立南豊ヶ丘小学校の跡地を利用した施設のグラウンド人工芝に整備されている。

小学校の4階建て校舎はそのまま残し、1階と2階部分は更衣室やシャワー室などスポーツ施設に欠かせない設備をはじめ、事務室や共有スペースにリフォームされています。また防災拠点としての役割も担っているため、3階と4階は多摩市の防災倉庫として、食料や毛布などの防災用品が備蓄されています。

防球ネットで囲まれた校庭に目を移してみると、土のグラウンドには人工芝が敷き詰められ、さらに夜間にも対応できるように8本の照明柱が設置されるなど大掛かりな改修工事が施されているのです。

プロスポーツクラブと行政がタッグを組んでまちづくり

これまで本プロジェクトに携わってきた東京ヴェルディの常田幸良さんに話を伺うことができました。

「もともと我々は、日本サッカー協会の指針でもありますが、『サッカーファミリーをふやす』ことを目指してきました。そのために、おもに女子サッカーチームの日テレ・ベレーザとその下部組織の活動拠点を探していました。一方で、多摩市としては使われなくなった学校施設の有効活用を模索していました。そこで、近隣住民が利用でき、日本の女子サッカーのトレーニングを間近で観ることができる、そして、まちづくりの一環となる施設にしていきませんか、と話が進んでいったのです。改修費用は、totoの助成金や東京都サッカー協会からの援助もありました」(東京ヴェルディ・常田幸良さん)

東京ヴェルディにとって、多摩市はホームタウンのひとつであると同時に株主でもあるのです。東京ヴェルディと多摩市は、2011年には「多摩市陸上競技場の活用に関する協定」を締結し、多摩市陸上競技場を東京ヴェルディと日テレ・ベレーザが練習や試合で使用するようになり、2013年には多摩国体と呼ばれた「第68回国民体育大会」で、サッカーの試合会場となった多摩市陸上競技場の芝の張替えを含めた維持管理を東京ヴェルディが担当。同時に2012年に「まちづくりの推進に関する基本協定」を締結するなど東京ヴェルディと多摩市は実に良好な関係を築いてきました。そして、2015年4月に「東京多摩フットボールセンター 南豊ヶ丘フィールド」がオープンする運びとなったのです。

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学校施設はスポーツ施設に転向するのに適している

常田さんがこう続けます。
「今回、南豊ヶ丘小学校の跡地をサッカー施設として整備するにあたり、ほかにも候補地はありましたが、サッカーのフルコート1面とウォーミングアップ用のスペースがとれることが条件でした。しかし、校庭の多くは不整形地であったり、木があったりして、フルコートがとれる校庭を持つ学校は意外と少なかったのです。その点、南豊ヶ丘小学校は最適でした。目の前に大きな幹線道路が走っていることや駅からのバス便も充実していて魅力的だったのです」

最寄り駅の、京王相模原線の「京王多摩センター駅」と小田急多摩線「小田急多摩センター駅」からはバスの本数も多く、アクセスは良好です。敷地内には約130台分の駐車スペースも確保されています。

「現在駐車場になっている場所には、もともと体育館がありました。残念ながら耐震補強の関係で取り壊してしまいましたが、もし体育館が残っていれば、フットサルやその他アリーナスポーツの計画も考えていたんですよ」

東京ヴェルディには中学生のフットサルチーム(東京ヴェルディフットサルクラブジュニアユース)があり、東京都U-15フットサルリーグ(東京都フットサル連盟) 1部に所属しています。今後も学校跡地を再活用として、体育館が使える施設があれば、クラブとしてフットサルへの取り組みを積極的に検討したいと常田さんは言います。

「学校施設は、スポーツクラブのクラブハウスに成り代われる利点がたくさんあると感じます。教室の作りや大きさもちょうどいいし、水道まわりも使いやすいのです。シャワー室も、以前は給食の配膳設備があったようなので、やはり水回りが充実していました」

現在は、サッカーやソサイチ、地域の方を対象にした走り方教室、グラウンドゴルフ、フライングディスク、ラクロス、そして太極拳、などが改修された人工芝のグラウンドやクラブハウスで行われていますが、元から水道設備が整っているので、参加者は快適にスポーツを楽しむことができるようです。

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地域の人たちにとって思い出のある学校が残ることの意味

また、毎週木曜日の午前9時から午後4時までは「地域貢献デー」として施設が無料開放されています。誰でも自由に整備されたグラウンドでスポーツを楽しむことができるのです。常田さんが感慨深そうに話します。

「以前、南豊ヶ丘小学校の卒業生がお母さんになって子どもを連れて遊びに来ることがありました。リフォームをしたとはいえ、2階には元の教室がそのまま使用されているなど学校の面影も残っているので、それを懐かしそうに見られたりしていましたね」

地域に住む人たちにとっては、たとえ小学校ではなくなっても、そこは思い出のある大切な場所に違いありません。「東京多摩フットボールセンター 南豊ヶ丘フィールド」は学校の形を残しながらリフォームしたことで、地域の人たちの身近な存在としてあり続けています。

「バックスタンド側に小山があるのですが、そこにはまだ南豊ヶ丘小学校だったころ、子どもたちが授業で作ったのでしょうか、石の彫刻のようなものが置いてありました。もちろん、そのまま残してありますよ」

春になれば、「東京多摩フットボールセンター 南豊ヶ丘フィールド」には、小学校の頃の名残である満開の桜が鮮やかに咲き誇るそうです。

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